1/21のねこさん 文は田島薫
なつくニケ
ねこさんファミリーの中で一番人好きなのはニケで、どっかのだれかがファミリー
のだれかをなでてたりすると、すぐにそばへ寄って行って間に割って入る。
だれに対してもそうなんだけど、なんだか私のこともすごく信頼してる風で、私が
ちょっと玄関の外へ出ると、どこからともなく寄ってきたニケが足元ですり寄って
なんか言ってたり、こっちがニケを見つけた時はすでに向こうはこっちを見ててま
さにこっちへ歩き出したとこだったりする。きのうの朝も私が玄関の外へ出て、ね
こさんたちがいつも日なたぼっこしてる家の前の坂の中腹のわきにあるだれかの家
庭菜園の方見ると、ニケがこっちを見てるのに気がついたんで、すぐに知らんぷり
して家に戻り、坂が見える部屋のガラス越しに見張ってると、案の定ニケが坂を下
りて来て、わが家の庭に入って来てあたりを見回してる。
いやいや、ここは日なたぼっこにい〜んだよね、しかし、だれもいなくてぼくひと
りだね〜ここにいんのは、だれか来ればい〜のにな〜、だれか通んないかな〜、う
〜ん、お、だれかが出て来たぞ〜、あ、ぼくの家のあの家の人だ、行かなくちゃ、
なんかぼくに用があんのかもしんないからね、みつけたらすぐ行くことにしてんだ
よね。行って、用があったらなんでも言ってくれたら、ぼくはお使いでもなんでも
してやろ〜と思ってんだけど、なかなかそ〜ゆ〜用はないみたいで、たいていごは
んくれたりなでたりしてくれっから、行ってそんはないんだよね、って、来てみた
んだけど、さっき見えたあの人いなくなっちゃったね〜、おっかし〜ね〜。