6/11のねこさん        文は田島薫

よそでくつろいでた


先週の中ごろの晴れた午後、家人と近所のスーパーへ買い物に行った帰り、往きに

稲荷神社前通ったんでそっちじゃない方の路地へ曲ったところ、角の家の垣根の中

のエアコン室外機の上に見なれた柄のねこさんが寝そべってた。あれ?グレじゃね

〜の?ってふたりで言ってながめてたら、グレもこっち不審そうに見ながら、こっ

ちの呼びかけにしばらくしてから、にゃ、って言った。


いやいや、ちょっとあちーこんな日は、ちょっと日陰んなったここがちょーどい〜

んだよね、昼寝すんのに気持よくてさ。それに、ここはあんまし歩いてる人はいな

くて静かだし、たまに歩いてる人もたいていなんか大きな袋持ってたりすんで、す

こし坂んなってるこの前の道で立ち止まるやつはいない、ってことで安心していら

れる、つーわけなんだよね、…つってるそばから立ち止まってんのがいるぞ。ヒマ

人だね〜、やだね〜、帰れ帰れ、だれなんだよあんたたちは、わたいになんだか、

したしげになんか言ってるけど、しらないよー、おっと、まてよ〜、どっかで見た

ことあるよ〜な気もしないこともないね〜、ひょっとすっと知り合いかもね〜、ま、

あんまし、はっきりしてないんだけど、ま、いちお〜、ども。


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