3/26のねこさん 文は田島薫
ガラスの中のねこさん
きのう家人と地元の競馬場まで散歩した帰り、その近くのなだらかな坂の途中のガラ
ス戸の向こうにとらねこさんが見えた。社会的な仕事の事務所らしく休みで中に人は
いないらしく、退屈したねこさんが外を見てたようだ。お、ねこさんだ、って言って
ふたりで近づきガラスに手を当てると、それをつかもうとするようにガラスに沿って
後ろ足だけで立ち上がった。しばらくガラス越しにじゃれあったりしてると、ねこさ
ん、ふと、違う方を向いたり他のことするふりしたりしてから、またちらっとこっち
を見たりした。で、またそっぽを見てる時に、じゃ、って立ち去りながらふり返った
ら、そのねこさんとまた別のねこさんふたりしてこっちをじっと見送ってた。
いやいや、きょうはまた留守番の日なんだね、ごはんはいっぱい置いてあっからい〜
でしょ、ってこんなに外はい〜天気なのに外出られない、つーのはどーなの?
しかし、こ〜やってだれか通らないか外見てても、箱に乗った人ばっかで、歩いてる
人はあんましいないね〜、ぼくが外にいたらいっぱい歩いちゃうけどな〜。つってる
と、お、人だ人だ、お、こっち来たか〜、えらいっ、いやいや、らぶあんどぴーす!
いかん、なんだかはしゃぎすぎちゃったね、あんまりお調子もんに見られっといけな
いから、ここでちょっと冷たくしとくか、ふんだ、あんまりなれなれしくすんなよ、
ばかにゃろー、なんちゃって、うそうそ、ごろにゃん、ってそりゃまずい、なんだば
かにゃろー、なんちゃって、あれ?もー帰っちゃうのかー、なんだばかにゃろー