2/5のねこさん        文は田島薫

さびしがりのむん


一旦どっかへ出かけた後もわが家の庭や玄関に何度もやってくるむんは、特に母親の

グレが見回りにやって来た時には、たいていどっかからにゃんにゃんないてそばへ走

り寄って来て甘えようとする。きのうの夕方も、私がちょっと玄関の外へ出た時、た

またま道路の方からグレ歩いて来たんで、出てた容器にごはんを足してやってると、

なきごえが聞こえて、むんが小走りにやって来た。むんはごはんを食い始めてるグレ

の方へすり寄ろうとしたんで、一人立ちをさせるためにいつも冷たく対応するグレは

ちょっと身を引っ込めてよけるまねをしたんで、私はむんの目の前にそばにあったも

うひとつの容器にごはんを入れてやったらそっちを向いたんで、グレも安心したよう

に自分のを食い続けた。ごはんを食うこともせずにむんの方は無表情にしてたんで、

頭や背中をちょんちょんとたたいてやったら、いつもはよけるそれをいやそうでもな

いような顔でされるままにしてた。


あ、かーちゃんが来た。かーちゃ〜ん、とととと、かーちゃ〜ん、あそんでよ、ね〜、

あ、やっぱり、冷たいね〜、ど〜してなのかね、わたいがきらいんなっちゃったの〜

え?、おっかし〜ね〜、ど〜してなんだろ〜ね〜、ごはん食ってるね〜、おなかがす

んごくすいてて、それどころじゃない、つ〜わけなのかな、そんなら、食い終わった

らでい〜んだけど、でもいつも食ったら、わたいをおいてすぐどっか行っちゃうんだ

よね、わたいは捨てられたんかね〜、ね〜か〜ちゃん、お、か〜ちゃん、なめてくれ

んのか〜、おっと、か〜ちゃんじゃないのか、こんにゃろめがやってんのか、ま、今

はか〜ちゃんになめてもらってるつもりんなっとこ〜か〜、ん〜ん、いまいち。


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