1/12のねこさん        文は田島薫

グレーのえいぎょう


きのうの祝日の夕方、家人と近所のスーパーへ買い物行こうと家の前の坂を上ろうとし

たら、上の方からねこさんのなき声が聞こえて、坂の階段にグレーが立っていた。

われわれは、お、とか、よ、とか言いながら、駅の方まで行く前回は手が汚れないよう

にさわってやんなかったんだけど、今度はスーパーで手は洗える、ってことで、たっぷ

り背中をもんでやったら、少し安心したようにしてちょっとじっとしながら、先へ行く

われわれを見送り、われわれがふり返るのを確認してから、そっとついてきてから、急

に走って、われわれを追い抜いて、稲荷神社のとなりの家の前で待っている。また、よ、

とか、おい、とか声かけながら追い抜くと、また同じようについてきたんで、もう、こ

こまででついてきちゃだめ、って家人が手で合図すると、じっと止まった。


こないだ、だちの2人組にちょっと冷たくしちゃったから、怒ってるかなあいつら、ま、

ぼくもオニじゃないんだから、ぼくの感じい〜とこもちょっと見せとかないといけない、

つーことで、あいつらんちのそばで出てくんのず〜っと待ってたんだけど、お〜、やっ

と出てきたよ〜だぞ、じゃ、お〜い、きみたち、か〜い〜ぼくがあいさつしますよ〜、

こんにちわ〜、げんきだった〜、背中なでてい〜よ、こないだはわりかったね〜、なで

させないで、やっぱしきみたち、ぼくのこときらってなかったよ〜だね〜、よかったよ

かった、でも、こー、ちょっと待ってると、お、やっぱし、ふり返ったね〜、じゃ、ぼ

くもそっちへ行くか、ととととと、お、そっち行くか〜、で、え?ここまで?


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