9/21のねこさん 文は田島薫
少しごきげん
きのうの夕方、散歩がてら家人とぐるっと駅の方まわって近所のスーパー寄った帰り
の稲荷神社となりの家の生け垣からグレーが出て来た。われわれは、よ、グレー、お
いでおいで、などといいながらお互い歩み寄ってって、家人がからだをもみもみして
やってたら、グレー、けっこう気に入ってる風なんで、私も次に同じことやってやっ
たら、こっちもさほどいやがってない感じで、少し前に歩き出した。手を離すと、わ
れわれが帰る方向に行ってから、少しゆっくりの歩調にしてわれわれを先導しようと
してる。われわわれがそっちへ歩き出すと、グレーも少し先を歩いて行く。これだと
また家まで来ちゃって、送り返すことになるはずなんで、からだを持ち上げて、垣根
んとこまで運んでから垣根の中へちょっと押し込むまねしたら、それと違う方へから
だをひねって、垣根の外で立ち止ってんで、われわれは後ろふり向かないように気を
つけながら歩き出して、わが家への坂を下る手前でそっとふり返ってみると、グレー
は垣根のよこの奥の家へのアプローチの石段にいた。
いやいや、たっぷり昼寝もしたし、ごはんも食ったし、さ〜て、ど〜すっかな〜、つ
ってるとこに、お、知ってる2人組だ、笑ってるね〜、ぼくと遊びたいのかな?ん、
こっちもひまだし、じゃ、ちょっと遊んでやっか〜?お、からだマッサージしてくれ
んの?お〜、ん〜ん、い〜感じ、そこそこ、い〜ねい〜ね、うまいね〜、いやいや、
まいったね〜、も〜、ず〜とやっててくれてい〜よ〜、ん?あり?交代すんの、マッ
サージ、さっきの人の方がい〜んだけどな〜、ま、ここでことを荒げちゃったら、せ
っかく和気あいあいの雰囲気がこわれちゃうかもしんないし、こっちの人も別に悪い
人じゃないんだから、ぼくのことが好きなよ〜だし、ま、ぼくはこっちの人の方はあ
んまし好きじゃないにしても、ま、こ〜やっていっしょけんめ〜マッサージしてやり
たい、って気持ちは受け止めてやってもい〜かな、と、さて、おい、も〜それくらい
にしとけよ、ぼくは忙しいんだかんな、ほらこ〜やって行くとこがあんだから、あり
?こっちだと、2人組んちの方か?あ、やっぱり、ついて来ちゃだめ、ってか?なに
言ってんだ、ぼくは、忙し〜んだかんな、かんちがいしてもらっちゃ困るんだ。