9/16のねこさん        文は田島薫

ミケとミケの 初秋


家人と安売りの玉ねぎやら水やウィスキーなんかを買った近所のスーパーからの帰り、

稲荷神社となりの家の手前の家のガレージ前の浅い溝に長く伸びた腹を埋めて寝そべる

ミケがいたんで、ふたりで、お、って手を上げてあいさつしてやった。ミケの方はこっ

ちを見て、ちょっとうなずいたように見えた気がした。そのまま通り過ぎていつもの彼

らの居場所の庭を見るとこっちにもミケが寝そべってて、こっちが小さい方のミケのよ

うだった。こっちにもふたりでよ、って手を上げてあいさつしてやったら、こっちもう

なずいたような気がした。奥の家のアプローチの向こうに奥さんが立ってるのが見えて、

どうも、ねこさんたちは、カを避けて思い思いの場所に寝転んでるらしい、ってことの

ようで、グレーはどっか行っちゃってるそうだった。人間もデング熱を気をつけましょ

う、って言い合って別れた。


いやいや、涼しくなってよかったよかった、って安心してたらさ、今度はかい〜のが気

になってきたんだよな〜、カを見るたんびにこらっ、つって追っぱらって動いてるうち

に、わりあいここに、カがあんまりいないのがわかったんだよな、それに、ほれ、こ〜

やって、刺されるお腹をかくしとけばも〜、その心配はいらない、つーわけで。あり?

またあの2人組だ、手上げてんね、ぼくにかな?なんなのかな?ま、あんまり、しつこ

くされたら逃げるんだけど、ま、それぐらいで行っちゃうんなら、許してやっか、よか

った〜。あっちでおばさんと話をしてるよ〜だね、ぼくのこと話してんのかもしんない

ね〜、ぼくが気むずかし〜から、あんまりかまわない方がいいよとかなんとか、言って

くれてっと助かんね〜、ぼくは静かに秋をひとりで味わいたいんだかんな。


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