4/14のねこさん        文は田島薫

黄色いねこさん、においかぎまわる


今朝事務所にいると、家人が来て、外にねこさんがいるから見て、って言うんでガラス戸

の向こうを見ると、家の前の道路に止めた工務店の軽トラックのバックナンバーあたりを、

黄色いねこさんが背伸びしてさかんにくんくん調べてる。けっこう長い間そこを調べてか

ら、移動してトラックの後ろ面全体も調べ、今度は向こうの側面にまわり調べながらひと

回りしてこっちの側面に出て来たかと思うと、やがて車の下に入り車の底を調べて、何か

考え込んだかと思うと、ゆっくりまた向こうへ出て、そばのなだらかな坂をのぼり、アパ

ートの駐車スペースのコンクリに鼻をつけてそこら一帯を調べ始めた。調べながらだんだ

ん、どっかのすみの方へ入って行って見えなくなった。


きょうはなんだかにおうんだよな〜、なんなんだ?このにおいは、やなにおい、ってわけ

じゃないんだけど、っていうか、どっちかっていうと、好きなにおいなんだよな、どうし

ても、その大元をつきとめたい、って体じゅうが思っちゃってる感じなんだよな、お、こ

れか、におうのは、ん〜ん、とってもくさいんだけど、なんだか、ぼくの探してたにおい

と違う気もすんな〜、おっかし〜な〜、あんまりにおいかいでるもんで、なんだかわかん

なくなっちゃったのかな、ぼくの鼻は、ん〜ん、ど〜なんだろ〜、くさいから、この見な

れない箱があやし〜と思うんだけど、ただくさいだけで、やっぱ、ちがうのかもな〜、お

し、じゃ、思いきって別なとこ探すか、こっちか〜?なんかにおうんだけど、だいぶ、う

すいね〜、においが、さっきくさいのかいじゃったせいで、鼻がばかんなっちゃったかも、

じゃ、だめじゃん、お、あっちの方でちがうにおいが、これか〜?ど〜だ?ん〜ん…


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