12/16のねこさん        文は田島薫

うしねこさん坂をよこぎる


先週の晴れた日の昼下がり、自転車で食料の買い出しから帰って来たら、家の前の陽の

当るモンマルトルの丘のような(行ったことないけど)階段つきのコンクリの坂をうし

ねこさんが横切って行くとこが見えたんで、ちょっちょっ、て舌で合図送ったら、ちょ

っと歩調を止めてこっちをちらっと見てから、すぐに正面に向きなおって、そのまま、

向かいの小さな家のうらへ入って行ったきり。


こ〜いい天気の日にあっちの谷からこっちの山、って走り回んのがぼか〜大好きなんだ

ね〜、ひとりで、だれにも見つからずに、さーっと走っては山影でひと休み、こんだ、

あっちの谷の方へ、さーっと、って、ぼか〜、も〜このあたりの王様、ってことで、だ

れにもそれを止めるこた〜できない、つーわけなんだね〜。この、ぽかぽかあったかい

山もこんなふ〜に、さーっと、だれにも止められない、つってるそばから、なんだか止

められちゃったか〜、なんか呼ばれたよ〜な気が、あり?あのあやし〜やつか、山男か

〜?やばいやばい、だーっしゅっ、よし、もう、だれにも止められないー。


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