3/5のねこさん 文は田島薫
チビクロまっくろ忘れる 5
先週末の朝、燃えるゴミ捨てに行こうとしたら、となりのバレエ教室の前で数カ月前から
住まいを別宅に移した先生の代りに借り住まいはじめた弟子の女性が掃除をしていた。
あいさつして見ると、そばにチビクロまっくろが座ってる。お、おいおい、ってそば行く
と、すっと奥へ逃げた。ほっといてゴミ捨てて戻ってきてから、また奥にいるチビクロま
っくろのそばへ行くと、またさっと植え込みをぬけ、玄関のステップに移動し、弟子の女
性の横でしらんぷりしている。
だんだん暖ったかくなってきた気がすんね〜、それに、ここのきれいなおねえさんのそば
にいるのもすんごく気持ちいいんで、ぼか〜大好きなんだね〜、ま、たま〜に、となりの
あの人に合う危険があんのだけがやなんだけど、つってると、その危険が来たね〜、やば
いやばい、おねえさんに話しかけてるけど、じっとしてればぼくには気がつかないかもし
んないかな、ぼくは置き物ですよ、ねこの、だみか、やっぱ、こっちくんね〜、さっと、
よけて、と、行った行った。と、思ってるとまた帰って来たか〜、また、こっちくっか〜、
しつこいね〜、さっと、よけて、と、も〜、やなもんは、や、ってはっきり言おう、こっ
ちのおねえさんの方は、好き、好きなもんは好き。