10/18ののらねこ         文は田島薫


バットマンの静養

きょうは気持ちいい秋晴れなんだけど、知らないうちに昼ごろだれかが来て

エサを食べて行っただけで、あまりお客さんの気配を感じない。


先週の木曜の午後1時すぎごろ仕事してると、開いていたベランダ側から、

バットマンが例によって、ずんずんずん、と私がおいおいおい、って言ってる

のも全く無視して前だけ見ながら入り込んで来た。


机の下や本棚あたりを探検した後いつものふとん収納場へ向かい、その上の

絵葉書の段ボール箱が沢山収納してある棚に飛び上がって一番奥の段ボール箱

の上でくつろいでいる。

しばらくたっても出て来ないので、台に乗って手を伸ばし彼を床へ回収した。

そして体の向きを出口の方へ向けると、そのまま歩いて行くはずだったのが、

どういうわけか、くるっとその場でユーターンしてから、下の段のふとんの上

へのぼって行った。


しばらく様子を見ていたら、ふだんなら中をずんずん歩き回っているところ

だったと思うんだけど、すぐ座り込んで休んでいる。

おいおいだめだめ、出なくちゃ、って手を伸ばすと、温厚な彼が怒りの表情で

フー、って言いながらつめ立てたネコパンチをくり出した。

あの〜ひとんちいきなり入り込んで来て、ひとのふとんの上で休んじゃって、

困るから帰ってください、って言ったら、うるさいっ、って怒るひと、って、

あんまり一般には見かけないんですけど…。


しょーがない、よっぽど疲れてるんだろー、ってそのままにしておいて、時々

様子見ると、ぐっすり寝てたり、目さまして休みながらこっち見てたりする。

6時になって、そろそろ薄暗くなるころ、もういいだろう、って手を伸ばして、

床へ回収した。

今度は満足してたらしく、ネコパンチぬきで、のびをしてから帰って行った。


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