3/15ののらねこ 文は田島薫
朝、出勤して階段を上がって行くと、ベランダの広い方でシャンさんが煙草を吸ってて、ドア前のベランダでバットマンが伏せの姿勢で向かいの建物の方を見つめている。
シャンさんに聞くと、ちょっと前に一服しようと、ドアを出たところ朝1に下にいたバットマンが上がって来ていて、彼には目もくれず、すずめをねらっていたそうだ。
エサを出した朝1にはカラスが来てたそうだから、それをやりすごして、すずめの
番になった時に上がって来たのだ。
じっとしていたバットマンも向かいのすずめが飛び去ったら、ふと我に帰って、こっちを見てから、寝転がった。
つい先日怒鳴られてめげてたのに、立ち直りの早いお客さんの頭をなでてやった。
あの後、いろいろ考えて、彼は何か悟ったんだろうか、そうじゃないとすると、やなことはどんどん忘れちゃうだけのおぼっちゃん、ってことになっちゃうから、
もうちょっと、しばらく落ち込んで、いろいろ考えた方が大物になれるのに。
ブラウンはそうとう大物になったかも知れない、もう2ヶ月ぐらい落ち込んでるから。
しかし、ずーっと長いこと落ち込んで最後の最後に大物になんなくても、やだやだ、やなこたーどんどん忘れちまおう、って方が人生楽しいとも言えるかも。
(ねこは、人生じゃないっ、…にゃん生だろっ)
はた目には小心者でもけっこう大物に見えるし。