6/21ののらねこ 文は田島薫
台風が接近してる不穏な感じのする天気で、お客さんの姿は見えない。ま、最近は天気がよくても、お客さんあんまり来ないんだけど。
で、先週末のちょっと汚い話でお茶をにごしたい(汚いもんでにごすなっ)、からっと晴れた気持ちのいい日だったんで、事務所の東のベランダ側のガラス戸
を開けていて、なんとなくそっちを見たら、最近たまに顔を見せる新人の
バットマン2号がいて、目が合った。
バットマン2号は常連のバットマンより黒マスクが深くて口元までのびていて、
1号より人見知りが強く、いつもすぐに逃げていたんだけども、たんびに話しかけて
たおかげか、このごろは立ち止まることが多くなっていた。
その時もこっちを見て、立ち止まり、こっちの、おお、いたのか、っていった声を聞きながら、じっとしてたんだけど、何か言いたげな顔をしたと思ったら、全身を
前後に震わせ、いきなりゲロをはいた。
そして少し後ずさりして、お、どした、って言うと、こっちを見てから、また、
全身振動して、同じぐらいゲロをはいて掃除しないで帰って行った。
ゲロはカリカリエサの形のまま柔らかくなっていて小ぶりのエクレアって感じだ。
あ、んこして行きやがった、って、となりの部屋からシャンさんの声がしたので、お客さんに対して、ちょっと発言が失敬じゃないかと思った私は、彼の名誉のため、
んこじゃないよゲロだよ、って言ったんだけどあんまし変わんないかも。
言う現場に行ってみると、さっきの場所よりドア寄りのところで、けっきょく、バットマン2号は3カ所にゲロして行きやがったのだ(言い方が失敬になった)。