12/27ののらねこ         文は田島薫



ねこと宴会

先週、次週は登場人物大活躍の予定、って言ったんだけど、お客さんたちはこっち

の予定を聞いてくんなかったみたいだ。

今朝のからりと晴れた気持いい始まりの中、皿を見てみると、けっこうまとまった

量のエサが残っていた。こんなことは、かつてなかったはずで、週末に山盛りに

入れといても、いつだって週明けには空っぽになっていたのだ。


どーしたっていうんだ、みんな年末のご挨拶回りにでも出かけてるんだろうか。

それとも、電車などが混まないうちに、年末を過ごす団体温泉旅行に行ったのか、

しかし、ねこの団体が電車で酒盛りしてた、って話はあんまり聞いたことないな。

わかった、歩いて行ったんだ、だから早めに出たんだ。(なんだ、そ〜か〜)


いろいろ考えていたら、いつの間にか、ドアの外のエサがちょこっと減っていた。

全員出払ったっていうわけでもなさそうだな、ってことで、近所を、お客さんを

探す見回りに出かけることにした。


お客さんの通る幹線は大体押さえているつもりなので、そこを歩きながら、細い

私道や建物と建物の隙間をのぞいたけど、お客さんの姿は全然見えない。

七曲がりの路地にある家の前の毛布の敷かれたねんねこねこボックスも空だった。


ひとりも見つけないまま、近所をひと回りして帰って来たら、うちの事務所のある

ビルの1階の同業者らしい事務所ではまだ昼過ぎだっていうのに、カセットコンロで

焼肉をしながら、酒宴をやっていた。


あ、そーか、この季節いろんなとこで、ごちそうを喰ってて、そっちの方へみんな

おじゃましてる、ってことかも知れない。

ひょっとしたら、開け放したドアの中のぞいたら、いつものお客さんがそばで、

おすわりしてたりして。

前にもそんな光景に近いのを目撃したことあるから、ありうるありうる。


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